🔷映画『ミナリ』鑑賞〜美化されないありのままの美しさ

昨日は映画『ミナリ』を鑑賞。 今年度の米アカデミー賞で『パラサイト』に続き 作品賞でオスカーを獲得するのではないかと、期待が高い作品です。(アカデミー賞では作品賞・監督賞など6部門でノミネートされています)

物語は、1980年代のアメリカを舞台に、カリフォルニアからアーカンソー州へ移住してきた韓国人一家の奮闘を描くお話し。

その中で、一家に“何か違う風“ を巻き起こしてゆくおばあちゃんが中盤で登場する。おばあちゃん役は韓国映画の至宝と言われるユン・ヨジョンさんという役者さん。私がもともと大好きな方です。 モダンで飄々としてあったかくユーモアがあり、、日本で言えば樹木希林さんのような存在でしょうか。

年末から『ミナリ』が公開されて以来、アメリカのあちこちの映画祭でユン・ヨジョンさんが助演女優賞にノミネートされたり、また賞を獲得したことをニュースで見るにつけ、日本での公開を楽しみにしていました 。

今ざっと調べただけで、作品はなんと13もの映画賞でノミネートや受賞を重ねています。サンダンス映画祭をはじめ、ボストン映画評論家協会賞、ゴールデングローブ賞・・などなど。そしてユン・ヨジョンさんの受賞は今現在 なんと27冠❣️ (3月11日現在)です。米アカデミー賞でも もちろん助演女優賞としてノミネートされています。この快挙は韓国人俳優としては初めてのことでありますし、東洋人としてアジア人としても史上二人目なんだそうです 。

さて映画自体はどうだったか、と言うと私にはちょっとピンと来なかった事が多々ありました。 まず母親役に全く共感できなかったことがあります。それはいわゆる農場のおっかさんの覚悟、逞しさ等がまるでなく、ただただ被害者意識でいっぱいのヒステリーな姿であったので、嫌悪を覚えてしまったのです。

つまり、私はどこでステレオタイプのわかりやすさを期待してるんだなぁと・・。それに気づいた時、自分自身で苦笑いでした。

ただユン・ヨジョンさんの芝居はやはり素晴らしかった。家事もせず花札に興じる韓国のおばちゃんの姿は、韓国ドラマではお馴染みのシーンですが、教会での1シーンや、目覚めた“あの日“ の芝居は秀逸でした。

(ネタバレになっては野暮なので、これ以上は辞めます)

そして子役、デイビットを演じた少年も素晴らしかった。この役は、リー・アイザック・チョン監督自身の投影らしいです。

タイトルの『ミナリ』、これは韓国語で 水辺に生息する “せり“ を意味します。逞しく地に根を張り、2度目の旬がもっとも美味しいことから、子供世代の幸せの為に、 親世代が懸命に生きるという意味が込められている “ らしいのです。

物語りは、終止 “水“ について語られます。 水とは「水が馴染む」「 都会の水に合わなかった」、などと表現をするように、 生きることそのものを表していますね。

お婆ちゃんが韓国から持参したセリの種 。おばあちゃんが植えた種が成長して、そのセリを摘む父と子の姿が最後のシーンに描かれる。 それはこの地に根を張って生きてゆく事を決め、地元にようやく馴染み、この地に根っこを張ることが出来たその一家の象徴でもあり、人の営みの象徴でもある。

『ミナリ』は、昨年のパラサイトとは全く違う“韓国映画“ 。(『ミナリ』を韓国映画とくくるのも、必要のないことなのですが)私たちがこれまでに見てきた韓国映画とは全く質が違うものだな、と。それは監督自身が移民2世であってアメリカで育っているということもありますし、勿論アメリカの資本も多く入っています。『パラサイト』は韓国人らしいブラックユーモアを交えて、普遍的なテーマ《格差問題》を描いているのに対し、『ミナリ』は、韓国語を話す韓国人家庭の話ではあるが、韓国人特有のユーモアやどぎつさなどを全部排除して より普遍的なテーマ描いたのだな、と感じました。

先日の第78回ゴールデングローブ賞では、この映画を本筋の作品賞にノミネートせず、 【外国語映画賞】にノミネートした事で、論争が起こった。

これは、どこの国の映画なのだろうか?

またその括りは必要だろうか?・・・。

移民の多いアメリカでは、この物語は私たちの家族の話だ、と多くの人が共感したらしい。

またユン・ヨジョンさんは言う。

この映画はチョン監督が 当時の自分の姿を投影しつつ 7歳の子供を通して見た世界を描いています。人種差別や偏見がない子供が見たままの世界を描いていること、その部分がとても好きです。『ミナリ』には恋愛の話でもなければ美化された話ではない。でも世界がこのような状況だからこそ、ありのままの世界を、真実を見せてくれる映画を求めている人が多いのではないでしょうか。

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