先日はご招待を頂き、帝国劇場にてミュージカル『ビューティフル』観劇しました。偉大なるアメリカのシンガー・ソングライター、キャロル・キングの自伝的舞台。
私は20代の頃にシンガーソングライターの小椋佳さんに大変可愛がって頂きました。その際に、 キャロル・キングの『つづれおり』(tapestry)を聞いてご覧、と言われた事があったけれど、申し訳ない事にその頃の私には全く響かなかった・・。😣😣 そのキャロル・キングは、良い楽曲を沢山生み出した偉大な作曲家であり、素晴らしいシンガーソングライターなのですね。
*小椋佳さんとの対談*
https://yasuko-sado.com/2019/10/page/7
この『 つづれおり』(tapestry)に至っては、20年に渡ってほとんど週で女性アーティストのより1位を獲得。彼女のレコード販売数は7500万枚とも言われ、グラミー賞を4度受賞したレジェンドなのです。
彼女のデビューは1960年代初頭。しかし今聴いても全く古い感じはない、、というより時代が巡ってきて、またこの時代をフューチャーしているのですね。
ストーリーと楽曲
母の手ほどきでピアノを学んでいた音楽が大好きな少女キャロルは、好奇心から作曲をするようになり、やがて劇作家を目指していた青年と出会い意気投合し、二人はヒットを飛ばす。やがて二人は夫婦となって 公私ともに“最強のペア“ となる、、。
そう、伊礼さん演じる旦那様の口癖が『予感がするんだ、僕らはどこまでも飛んで行ける!』という台詞。劇中で何度も繰り返されます。二人はとても前向きでひたむき。私には心地よくその言葉が胸に残りました。
劇中には、ドリフターズ(日本のドリフターズはこの本家になぞって付けられたグループ名)などのグループや伝説の歌手達が彼らの作った楽歌を歌うシーンがあります。それらは勿論アンサンブルの俳優さんたちが演じる訳ですが、皆さんが素敵で、とっても楽しめました。日本の俳優の水準も本当に上がってきたのだなあ・・としみじみ感心。
ライバルで友人のライターを演じた中川晃教さん&ソニンさんカップルもまたとっても素敵で、4人で歌うシーンなどは、大変贅沢な時間が流れるようでした。とにかくこの作品は歌と音楽が佳い!幸せになります。ライブにやって来た、と言う訳ではないのですが、もうずっとここで聞いていたい!!そう思わされます。
創作ミュージカルでは、たまにその登場人物全員に無理やりソロを振った(公平にする為に無理やり入れた)楽曲などが挿入される事があり、ゲンナリしてしまう事がある。つまりそロで心情を吐露する所まで胸中にある想いが高まっていない訳で、それなら無理に歌わせずにセリフで処理すれば十分なのであるが・・。今回は、その無理やり感が全くないのが有り難く、とても自然に芝居が流れて行きました。脚本演出の妙と皆さんの真っ直ぐな芝居のお陰なのでしょう。また帝劇でやるには大き過ぎる内容なのかと思いきや、あの大きな間口でもスカスカした感じが全くなかったのは、舞台空間の作り方がとっても洗練されていた、という事なのだと思います。
主演は水樹奈々さん、平原綾香さん
私が観た初日のカーテンコールでは、この日の主演の水樹奈々さんから特別な発表までありました。なんと水樹さん、お腹に新しい命を宿しているのだそう・・。そう云えば少しお腹が大き様にも見えていて、不思議だったのです。
お稽古中は体調が不安定になる事もあったでしょうに、凄い精神力でいらっしゃる。そして水樹奈々さんは歌手としての経験は豊富でもミュージカルはこれが初めて、という事を後から知って、これまた大変驚きました。歌は勿論の事、芝居もとっても良かったですもの‼️余計な事をしない真っ直ぐな芝居とひたむきさと明るさが、ご当人の生き方とリンクしている様で非常に説得力があります。私はすっかり水樹奈々さんのファンになってしまいました。
キャロル・キング自身が、最強のパートナーだった筈の夫と徐々にすれ違っていき、離れて生きる事を決意するも、2人の子供を子育てをしながらも前を向いて、自分の音楽の世界を見事に作っていった姿となんだか姿勢が重なる様な気がして、水樹さんの事をよく存じ上げない私も、この発表にはうるっとしました。
そしてその発表の後に、旦那様役の伊礼さんが『この舞台中は、僕ら皆で小さな命を護って行きます』と仰ったのも、また感動的でした。舞台の上も下も関係なく、温かい気持ちで溢れた劇場・・。そんな瞬間に立ち会えるのもまた生の醍醐味。また平原さんも全く違うキャロル像を作り上げているそうで、そちらも見てみたいな、、と思いました。
ミュージカル『ビューティフル』は帝国劇場で11/28まで。
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