🔷音色にため息〜『賢い医師生活』レビュー

皆さん 今日は!女優で歌手の佐渡寧子です。

《始めに:この記事は今年8月の記事を元に書き足したものです。コロナ渦で舞台芸術関係に携わっている方々は、(私も含め)大打撃を受けている訳ですが、最近ではNHKの朝の連ドラにミュージカル俳優がたくさん起用された様に、少しづつ“ミュージカル俳優“という不思議なカテゴリーがなくなりつつ流れになってきた様です。芝居をする俳優という点では同じですから。韓国では少し前からミュージカル出身の俳優達が、映像で活躍し始めています。日本にもそんな風に活躍の場が拡がって行く事を願いながら 改訂し再び取り上げてみました。》

大学で、声楽を生徒さんに教えている中で、まだ勉強の途上だけれども その人独自の音色が出てくると良いな〜と思う事がよくあります。声質はもちろん持って生まれたモノもありますが、勉強や訓練、思考にも大いに関わってくるモノである、と私は思っています。

私自身プロになって『良い声ですね〜』と仰って頂く事はよくありますが、(よかったらhomeのページから私のCDも聞いて下さい‼️)幼少期や歌を歌い始めた頃なんて、そんな事を言われた記憶はないのです。なのでよくレジェンドの方々が『子供の頃から歌うのが好きで、歌えばよく周りに褒められた〜』なんていう逸話は、私にはどこを掘っても出て来やしませんけれど、こうしてプロになりましたから勉強中の方々だって大丈夫‼️ 😉👌✨

劇団四季に居た頃に、浅利慶太先生が仰った事を思い出します。『美声でなくてもいいんだ。その人の持つ一番いい声であれば良いのだ』と。詰まるところ、喉を開けて身体を使って喋れ、歌え、という事なのですが、喉を開くという事は=心を開く事と同じなので、なかなか簡単にはいきませんし、身体を使うことは、大変な訓練が伴うものです。

だから歌い手は、自分の賜物である楽器を磨く為に日々努力を続けるべきですが、最近、ちょっと稀有な音色にたて続けて出会ってしまい、思わずため息が出ました・・。韓国の俳優さんは、皆とってもお声が良いですね。

韓国では最近、ミュージカル俳優達がTVで活躍し始めています。今年の春からコロナ渦も手伝って日本でも大人気になった韓流ドラマ『愛の不時着』では、適役の チョ・チョルガン役の オ・マンソクさんや、ヒロインにいっつも憎まれ口を叩く ピョ・チス役のヤン・ギョンウォンさんも、実はミュージカル俳優さん。

今、Netflix で人気のドラマ『賢い医師生活』 の主人公の5人も、一人を除き皆ミュージカル俳優なのです。正しくは、ミュージカル出身である、という事でしょうか・・。

早くもシーズン2が制作される事になった『賢い医師生活』

『賢い医師生活』は韓国ドラマにありがちな、“大袈裟な演出 “や “格差のあるカップルの恋愛模様“ などは一切なく、淡々と医師の日常をリアルに切り取った様な作風が、多くの人に受け入れられた点だと思います。病院を軸にいろんな人の人生が交差するさまを、とても丁寧に描いていました。

《余談ですが、私は『賢い医師生活』と全く同じスタッフ陣が制作した『応答せよ1994』が大好きでした。応答せよシリーズの第2作です。ソウルの名門・延世大学に入学してきた地方出身の学生達の、可笑しくてハートフルな青春群像劇。傑作です‼︎ 『賢い医師生活』で優しい小児科医を演じていたユ・ヨンソクさんもこちらに出演しています。》

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淡々と進むドラマ『賢い医師生活』。その芝居の中にあって 唯一コメディパートを受け持った様な天才医師役 チョ・ジョンソクさん。居るだけで何か愉快な方です。出身はやはりミュージカルで『ヘドウイック』などの主演作があります。彼が歌うこのドラマの0STは話題になっている様ですね。

紅一点のチョン・ミドさんは、芝居の中では冷静沈着で優秀な医師、でも “オンチなのに歌いたがるちょっと迷惑な人“ を演じていますが、実はご本人は素晴らしい歌い手で、沢山のミュージカル作品でヒロインをされています。

私も実際に3年前にソウルで『スゥイニートッド』を拝見し、楽屋でもお会いして来ました。⬇️⬇️

さて、声色の話しに戻ります。

『賢い医師生活』の5人の主人公の一人、キム・デミョンさんは 熊さんの様におっとり(たまに皮肉屋)で、繊細な芝居を見せていましたね。『賢い医師生活』の中では 学生時代からの友人たちと組む余暇のバンドの練習シーンで、主にキーボードを弾いている事が多かったですが、彼もまたミュージカル出身の俳優なのです。

彼はドラマ『ミセン』で観せたコミカルな演技で賞を獲った実力派である、と言うことは知っていましたが、ドラマ後半で歌った1フレーズの、その一瞬の感動が耳から離れません・・。柔らかく暖かく、真綿のような、でも深い趣きのある声。なんという声なんだろう・・。くせのある役柄を演じる事が多いし、また普段は飄々とした味に先に目がいってしまうのですが、本当はこの声の様な人柄なのであろうな、と勝手に想像しました。😉 ✨

さて音色ハンサム2人目は カン・ハヌル氏。先述のキム・デミョンさんとは『ミセン』繋がり、ですね。『セシボン』という映画中で伝説のduoの天才歌手の役で、大変な美声を披露していました。ハヌル氏もまたミュージカル出身。その音色は彼の、純朴でチャーミングな人柄、そのものです。(そもそもお名前の“ハヌル“ は空という意味で、“美談製造機“ だと言われる人柄そのままの声です)

カン・ハヌル氏(Kang Haneul)は百想芸術大賞という韓国のアカデミー賞のような賞で、大人気だった『愛の不時着』のヒョンビンや、『梨泰院クラス』のパク・ソジュンを押し除けて今年、最優秀演技賞を獲った方なのです❗️(彼が主演したのは『椿の花咲く頃』というドラマ。これまた佳い作品でした。)

歌の旨さに感動する事があっても、その “音色“ で感動する事はそうない気がします。韓国人の声には、なんとも言えない色がある・・。それは、長い間の民族の悲しみ故、なのかもしれませんね。。

日本でも韓国でもミュージカルは大変な人気。でもミュージカル俳優になるには長い道のりが必要です。芝居だけでもダメ、歌って踊れて、アンサンブルも出来なければならない…。なのでプロになるのはとても大変なのに 目指す若者はとっても多いです。小学校でも中学校でも、“ミュージカル“ を教育課程に取り入れる市町村も多いからでしょう。一見輝かしい世界に見える世界、しかし夢叶うのは一握り。そしてレッスンなどの勉強を続けてゆくのは金銭的にも厳しい道、、その夢も今年のコロナ渦で淘汰されてしまったかもしれない。

それでも、長く勉強を積み上げてきたミュージカルの俳優達が活躍できる場が、日本でももっともっと拡がって行って欲しいと思います。以前 或る俳優さんが仰っていました。『音楽をやっている人とそうでない人は、セリフの中のリズム感が違うんだ』と・・。

勉強を怠らず、自分だけの音色を❣️ 私も精進を続けて 自分の色を、もっともっと練って行きたいものです🌹🌹

*オススメ*

🔹自分が自分である為に〜梨泰院クラス感想〜

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🔹現実と妄想の境を漂う〜『アルハンブラ宮殿の思い出』感想

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